THIS IS HOW WE CREATE No.005 SUGARCANE SHORTS
〈SUGARCANE SHORTS〉はHERENESSがスタートした時から続く定番ショーツです。植物由来の素材、ポリウレタンフリーの構造、フィールドの知恵が詰まったポケットと、このショーツにはブランドの思想が凝縮されています。この1月にHERENESSに加わったMDの八日囿(ようかぞの)が、ユーザー目線の素朴な疑問を、立ち上げ時から製品企画を手がけてきた神谷に問いかけました。
サトウキビが、ショーツになるまで
八日囿
シュガーケーン・ショーツという名前、すごく特徴的ですよね。商品名を初めて聞いたとき、まずそこが気になりました。名前の由来を教えてもらえますか。
八日囿 圭太(ようかぞの けいた)
大手セレクトショップのオリジナルブランドでMDを経験。アウトドアの経験からアウトドア・スポーツアパレルの企画に関心を持ち、2026年1月にHERENESSに加入。
神谷
ショートパンツを作りたいとなったときに、いろいろ素材を探したんです。そのときに見つけたのが、素材の一部がトウモロコシやサトウキビを由来としたポリエステルでした。その素材がすごく良くて、トウモロコシとサトウキビというキーワードからインスピレーションを得て、「シュガーケーン・ショーツ」という名前にしました。

神谷 颯人(かみや はやと)
HERENESS立ち上げ時からMDとして製品の企画・制作に関わる。現在はHERENESS事業部長。
八日囿
天然由来の素材が入っていることで、肌触りがすごくいいという声をよく聞きます。自分で履いていてもそう思うんですが、天然由来であることが肌触りに影響しているんでしょうか。
神谷
肌触りに関しては確かにすごく良いなと思うんですけど、僕らが素材を探していた当時の基準は、「石油由来のものを使わない」ということでした。HERENESSが素材選びにおいて掲げてきたのは、「石油由来のものをできるだけ使わない」こと。でも当時は、その条件を満たしながら肌触りや機能性のクオリティを担保できるリサイクル素材は、まだ市場にほとんどなかったんです。そんな中で出合ったのが、植物由来であるこの素材でした。
ポリウレタンフリーという革新
八日囿
一般的にストレッチ素材にはポリウレタンが使われることが多いですが、この素材はポリウレタンフリーです。どうやってストレッチ性を実現しているんですか。
神谷
この生地は、特性の異なるポリエステルが1つの糸になることで、その糸の構成によってキックバック──自然な伸び戻りが生じる構造になっています。ポリウレタンは大体3年から5年で伸縮性が劣化してしまう。さらに素材として重くなるデメリットもあります。この生地はポリエステル100%でストレッチが出せるので、経年劣化しにくく、軽い。そこが大きなメリットですね。
お気に入りのスポーツ・アウトドアウェアが数年でヘタってしまう経験は、誰しもあるはずです。ウエストのゴムが緩み、フィット感が失われ、生地全体がくたびれていく。その原因の多くが、ポリウレタンの経年劣化にあります。3年後も5年後も変わらない伸縮性は、廃棄物を減らすことにもつながります。
トレイルからタウンへ、一本で
八日囿
デザインのポイントを教えてもらえますか。
神谷
商品企画の段階で、普段履きからランニングまで、いろんなシーンで使えることをテーマにしていました。そのため、他のランニングパンツに比べてワタリ幅(もも周り)をやや広めに取っています。少し大きめの作りですが、肌離れの良さや生地の軽さによって、ランニング時の動きは損なわない設計になっています。
早朝のトレイルランから、そのままカフェに立ち寄り、午後は街を歩く。スポーツウェアでありながらスポーツウェアに見えすぎない──その絶妙なバランスが、シュガーケーン・ショーツの設計思想です。
八日囿
この腰のポケット、ファスナーの位置がかなり特徴的ですよね。サイズや位置に対するこだわりはありますか。
神谷スマートフォンを持って走る人が増えているので、腰の位置にスマホ用ポケットを設けました。大きなスマートフォンも入りますし、補給食や鍵が落ちないようにファスナーも付けています。一般的には横方向に付けることが多いですが、上下の両端を縫製で固定できるように、あえて縦方向にしました。最初は少し慣れが必要ですが、安定感が高く、評価もいただいています。
八日囿
実際に使ってみてすぐ慣れました。むしろ他のショーツに違和感を感じるくらいです。
メッシュが解決した、小さなストレス
八日囿
サイドポケットの下にメッシュ素材が使われていますよね。これはどういう理由があるんですか。
神谷
一つは水抜けのためです。トレイルラン後や川・海に入るときに水が抜けやすいようにしています。もう一つは、ジェルの空き袋の問題です。ポケットに入れると中身が残って底に溜まるストレスがあって。メッシュなら水で流せばすぐ抜ける。それでこの仕様にしました。

定番は、止まらない
八日囿
将来的に、シュガーケーン・ショーツはどうなっていくんでしょうか。今考えていることを教えてください。

神谷
このパンツは立ち上げからの定番商品なので、継続していきます。ただし「定番=不変」ではありません。今後も細かなアップデートを重ねていきます。例えば、今年の生産から生地の撥水加工をC6からフッ素フリーのC0撥水に変更します。環境配慮の流れに合わせたものです。質感はほとんど変わりません。あとは、長年使用した際に腰回りや股部分が白化する現象に対して、耐摩耗性を強化したバージョンも開発中です。良いものができたら、ぜひ採用していきたいですね。


派手なモデルチェンジではありませんが、C6からC0への撥水加工の転換は、環境負荷を減らしながら製品の質を維持する重要なアップデートです。耐摩耗性の強化は、長年の愛用者が感じていた経年変化の課題に応えるものでもあります。製品を見てもすぐには気づかないことかもしれませんが、確実に良くなっていく。それがHERENESSの考える「定番の進化」です。
SUGARCANE SHORTS(MEN) 商品ページ
SUGARCANE SHORTS(WOMEN) 商品ページ